おふろ部10周年記念サミット 集合写真

おふろ×アイデア

おふろ部10周年サミット2026開催レポート|おふろから考える“これからの幸せ”

2026-03-19

2026年2月21日、アンカー神戸にて「おふろ部10周年記念サミット」が開催されました!

本イベントは、株式会社ノーリツが主催する「おふろ部」の10周年を記念したものです。これまでの歩みを振り返ると同時に、「お風呂は人を幸せにする」という原点を、これからの時代にどう捉え直すかを考える場として企画されました。

単なる記念イベントではなく、“これからの10年”を見据えた対話の場として、多様な立場の参加者が集まった貴重な1日となりました!

10年の歩みを振り返る|おふろ部のこれまで

イベントは、今年からおふろ部の“部長”に就任したノーリツ代表取締役社長・竹中昌之氏の挨拶からスタート。

これまでの10年への感謝とともに、「地域の課題をもとに、おふろの未来を描く」というメッセージが語られ、これからの活動が単なる情報発信にとどまらないことが示されます。

ノーリツ 竹中社長

続いて、おふろ部のこれまでの歩みを振り返るセッションへ。学生主体のWebメディアとしてスタートし、おふろの魅力を多角的に発信してきた活動は、全国の学生・自治体・企業との連携へと広がってきました。

一方で、Webメディアの影響力の変化や市場環境の変化といった課題も共有され、おふろ部が「メディア」から「ウェルビーイングのプラットフォーム」へと進化していく必要性が語られました。

こうした背景から、おふろ部は今、大きな転換点を迎えています。これまでの“情報を届けるメディア”から、“人と人をつなぎ価値を共創する場”への進化が必要とされています。

インスピレーショントークで見えた“おふろ×ウェルビーイング”

本サミットの中核となったのが、「おふろ×ウェルビーイング」をテーマにしたインスピレーショントークです。

医療・文化という異なる領域から語られた内容は、おふろの価値を“身体を温めるもの”という枠を超えて捉え直すきっかけとなりました。健康や幸福とは何か、その本質に立ち返る中で、おふろが果たす役割や可能性が、多角的な視点から示されます。

ここでは、稲葉俊郎氏、平松祐介氏それぞれの講演から見えてきた、「おふろとウェルビーイングの関係性」を紹介します。

健康を“つくる”という視点から見たおふろ|稲葉俊郎氏

慶應義塾大学大学院SDM特任教授の稲葉俊郎氏は、「病気を治すための医学(病気学)」だけでなく、「健康に生きるための学問(健康学)」の重要性を提示し、ウェルビーイングという概念をひも解きました。

登壇者 稲葉先生

その中で語られたのが、「生命力が高まる場」という考え方です。自然に触れる場所や、エネルギーの高い場、人の活気が集まる場、そして心からリラックスできる空間。これらに共通するのは、人が無意識のうちに整っていく環境であるという点です。

おふろは、そのすべての要素を日常の中で満たし得る存在だといいます。入浴中は、意識と無意識のあわい※に入りやすく、瞑想に近い状態になる、いわゆる「マインド風呂ネス」です。

※あわい:「意識」と「無意識」といったものを明確に分けるのではなく、両者がゆるやかにつながり、重なり合う領域を指す。 社会的に形づくられる意識と、内側から湧き上がる無意識とが出会い、自己の全体性や創造性が立ち上がる“重なり合うあいだの領域”のこと。

さらに温泉や湯治の文化にも触れながら、「おふろは自然治癒力を高める装置である」という視点も提示されました。身体を温めるだけでなく、心を整え、内側から回復していく。そのプロセス自体がウェルビーイングにつながっているという示唆が印象的でした。

日常の中の“幸せ”をつくる場としての銭湯|平松祐介氏

小杉湯社長の平松祐介氏は、「銭湯は人を幸せにする」という言葉を軸に、その価値を社会的な視点から語りました。

登壇者 平松さん

銭湯は単なる入浴施設ではなく、「公衆衛生を支える生活インフラ」として、震災や戦後の復興期を支えてきた歴史があります。その役割は現代においても変わらず、人々の生活に寄り添い続けています。

特に印象的だったのが、「ケの日のハレ」という考え方です。非日常の特別な体験ではなく、日常の中にある小さな豊かさこそが、幸福感を生む。銭湯はまさに、その“日常の中のハレ”を提供する場です。

また、「人を集めるのではなく、人が自然と集まる場所をつくる」という思想のもと、サイレントコミュニケーション※の設計など、現代に合った関係性のあり方も提示されました。

※サイレントコミュニケーション:会話を前提とせず、視線や気配、振る舞いなどを通じて自然に生まれる関係性のこと。銭湯のように、同じ空間を共有する中で、会釈や譲り合いといった非言語のやり取りによって、人と人とのつながりが生まれる状態を指す。

「きれいで、清潔で、きもちいい」というシンプルな価値の積み重ねが、人の心を満たしていく、その本質的な魅力が語られたセッションとなりました。

両者の話に共通していたのは、おふろを「機能」ではなく「体験」や「関係性」として捉える視点でした。おふろは、身体を温めるだけでなく、心を整え、人とつながる場でもある。その可能性が、改めて浮き彫りになりました。

地域課題ワークショップ|おふろで社会課題を考える

イベント後半では、「水」をテーマにした地域課題ワークショップが行われました。

普段、当たり前のように使っている水。しかしその裏側には、地域ごとの課題や制約が存在しています。各自治体の水道局から共有された現場の声をもとに、参加者は「おふろを通じて水への関心をどう高めるか」という問いに向き合いました。

議論の中で際立っていたのは、学生たちの柔軟な発想です。

「120円で買える幸せ」として日常の入浴価値を見直す提案や、「おふろ×水の旅ストーリー」といった体験型のアイデア、「おふろ遊園地」「おふろ博覧会」など、楽しさと学びを掛け合わせた企画が次々と生まれました。

さらに、「入浴届アプリ」や「リアルおふろ沸かしイベント」など、日常の行動の中で自然と水への関心を高める仕組みも提案され、生活に寄り添ったアプローチが印象的でした。

これらのアイデアに共通していたのは、「課題を伝える」のではなく、「関心を持ちたくなる形に変える」という視点です。

普段は意識することの少ない“水”について、改めて考え、言葉にし、形にする。そのプロセスを通じて、おふろが社会課題とつながる入り口になり得ることが示されました。

次の10年へ|おふろ部の新たな挑戦

10周年という節目を迎えたおふろ部は、次のステージへと歩みを進めています。

これからは、従来のWebメディアとしての役割にとどまらず、学生・企業・地域がつながる「ウェルビーイングプラットフォーム」としての進化が求められています。オンラインとリアルを行き来しながら、新たな価値を共創していく存在へと変わっているのです。

また、「機能」で選ばれるのではなく、「ブランド(人格)」で選ばれる存在へ、その意識も共有されました。地域とともに成長しながら、おふろを通じて社会をより良くしていく。その挑戦はすでに始まっています。

なお、本サミットの様子は、後日アナウンサー・大吉洋平氏が担当するラジオ番組「Across the Culture」でも紹介され、イベントの学びや熱量が広く発信されました!

おふろは、ただ“入るもの”ではなく、“考えるもの”へ。

 日常の中にある当たり前の行為だからこそ、その価値を問い直すことで、新たな可能性が見えてきます。おふろ部の次の10年は、きっとこれまで以上に多くの人を巻き込みながら、広がっていくはずです。

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編集部おふろ部

おふろ好きを増やし、おふろを「持続可能な文化」として継続していくため、給湯器などの製品を国内外に展開する住宅設備機器メーカーであるノーリツがおふろのプロとして運営しています。薬機法管理者の観点からも安全で信頼できるお役立ち情報を届けするとともに、おふろ部の活動についても発信していきます!

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