


こんにちは。おふろ部編集部です。
2025年6月6日(金)に、東京都中野区にある『中野温泉天神湯』にて行われた、株式会社Le Furo(ルフロ)主催の記念イベントに参加してきました。

株式会社Le Furo 代表 三田直樹 氏、 COO 新井和宏 氏、医師・最高湯治責任者 稲葉俊郎 氏の3名によるトークイベントで、「温泉と銭湯が開く、これからの社会と医療の形かたち」というテーマで様々なお話しを拝聴しました。
今回はイベントの様子を【前編】【後編】の2部構成でお送りいたします。前編では、医師・最高湯治責任者 稲葉俊郎 氏(以下、稲葉氏)による「温泉や銭湯と健康の関わり」について、後編では株式会社Le Furo(以下、ルフロ)の温泉事業に関する取り組みについてを紹介します。
トークイベント前には飲泉をいただき、初めて“温泉を飲む”という経験をしました。

見た目は少し黄みがかった透明色で、炭酸水に近い味わいでした。なんと、温泉の効能効果が人によって異なるように、飲泉も人によって感じる味が違うそうです!
また会場になった天神湯は、ルフロ 代表 三田直樹 氏(以下、三田氏)の奥様のご実家であり、2025年3月に「温泉」登録をされたことで、温泉が味わえる銭湯として営業しています。

「温泉と銭湯が開く、これからの社会と医療の形かたち」とは?
医師として活躍されている稲葉氏より、温泉や銭湯が人々の健康にどう影響を与えているのかについてお話しいただきました。
まず始めに「次の医療は湯治と温泉になると確信している」と力強く話しており、その姿がとても印象的でした。
「入浴・温泉・銭湯文化にはすごくポテンシャルが含まれているにも関わらず、多くの人がそれに気付いていない。そして『人が健康になる』ということを深く理解できていない人も意外と多い」
稲葉氏が医師として20年働いてきた中で感じていることだそう。2000年以上、同じスタイルで続く温泉文化を1段階レベルアップさせたいという想いから、温泉や湯治の普及活動に注力していきたいと話していました。
▶︎『人が健康になる』には、場所が大切
健康になる場所=病院という認識を持つ方が多い中で、稲葉氏は以下4つの場所も人を健康にしてくれると話します。
- ①自然豊かな場所
- ②パワースポット
- ③人のエネルギーがある場所
- ④リラックスできる場所
温泉や湯治場は②(+①④)の場所に、銭湯は③(+④)の場所に含まれると考えます。
また温泉は「火」と「水」というある意味矛盾したエネルギーが融合した地球の浄化力だと言い、人々はそれを本能的に求めているそうです。
疲れた時に「温泉に入りたいな〜」と感じるのは本能的な衝動なのかもしれませんね。
▶︎温泉が「こころ」に効く
現在、温泉の定義には以下の条件のどちらかが当てはまっていることが必須です。
- ・温度が25℃以上
- ・含有成分19の条件の1つ以上が規定値
これだけを見るとざっくりしているなと感じるかもしれませんが、詳細を全て把握するより、「水には質があり、この質の違いで人の体が元気になることを理解するのが大事だ」と稲葉氏は話します。

また、2014年に鉱泉分析法指針が改定され、これが温泉文化を大きく動かしました。
改定を機に「温泉がこころに効く」ということが証明されたのです。
これまでなんとなく「疲れを和らげる」「筋肉痛が良くなる」などのイメージを持たれていた温泉が、具体的に
- ・自律神経失調症
- ・不眠症
- ・うつ状態
に効くと記載できるようになりました。特に単純温泉はすべてに適応があります。
また、妊娠中の温泉禁止が除外に。これは医師のあいだでも未だにあまり知られていないそうです。
昔は高温の温泉が多かったため禁忌とされていたそうですが、現在では40〜42度が当たり前になってきており、むしろ推奨されているのだとか。
▶︎マインドフロネスの活用
最近注目されている「マインドフルネス」。
「今この瞬間の気持ちに集中し、気付き受け入れること」を意味し、おふろにはいるとそのマインドフルネスができると言われています。
稲葉氏はこれをマインドフロ(風呂)ネスと呼び、なんと大学生の頃から20年以上も続けているそうです!
人間は「意識(活動)」と「無意識(活動)」を行き来しながら生活しており、この2つがうまく重なることが人間の健康には大事だと話していました。

▶︎温泉は処方できる・・・?
私が今回のイベントの中で特に印象に残ったのが、“すでに温泉が療養を目的として処方することができる”ということです。
まだ、療養を目的とした温泉利用型健康増進施設に登録された22の施設でしか扱えていないため、稲葉氏はこれを拡大していきたいと話しました。
例えば、オンライン診療をうまく使用し、離れた地に暮らしている人へも処方ができる仕組みを作り、結果として銭湯がその街の駆け込み医のような存在になれたら嬉しいと言います。
また、基本的に湯治は1〜3週間ほどの時間を必要とするのですが、なかなか長期休暇を取りにくいというのが現代社会の現状です。
もし企業の福利厚生として湯治が活用されれば、心も体も健康になる人がより増えるのではとも考えているそうです。
最後に、「温泉は超高品質の水である。それをどう使用するかによって、人々を健康にし、幸福・平和にもできる」と言い、これを本気で考えていくことが国益にも繋がる温泉事業になると考えていると話しました。
次回、続きは【後編】へ。後編ではルフロの温泉事業に関する取り組みについてご紹介します!
>>後編はこちらから<<

編集部おふろ部
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