おふろ部の活動に参画いただいている甲南女子大学 人間科学部 生活環境学科の松村ゼミより、松村俊和教授が本記事を執筆。
甲南女子大学 人間科学部 生活環境学科 教授
松村俊和
私はこの秋、ポルトガルのマデイラ島へ国際学会の発表のために行ってきました。
その際、マデイラ島で滞在した時の入浴について、日本との大きな違いを感じ、記事を書くことにしました。
前編・後編でお届けしており、今回は後編です。前編では、ポルトガルのマデイラ島でのおふろ事情を紹介し、飛行機の遅延によって帰路が大幅に遅れてしまったところまでお話ししました。
【前編】ポルトガルで経験したおふろ事情と、湯船の大切さ【松村俊和教授執筆】
飛行機を待っているときに考えたのが、関西空港についてから家に帰る手段についてです。関西空港からはリムジンバスで帰る予定でしたが、遅延のため当日に帰宅できるかどうか微妙な時間になりそうです。そこで念の為、ネットで関西空港のカプセルホテルを予約しました。
予定時刻になってようやく飛行機に搭乗できましたが、それまでのフライトや遅延もあって体も心もフラフラです。
関西空港に到着したのは夜の22時を過ぎていました。そしてここでもトラブルが発生。
預けた荷物がターンテーブルから出てこず、航空会社に問い合わせたところロストしたことがわかりました。ロストバゲージは初めてなのと溜まった疲れで、なんだか妙な興奮状態です。職員さんに手伝ってもらいながら、ロストバゲージの申請書類を記入してようやく到着ロビーから出ることができました…。
やはり家に帰るリムジンバスも最終電車も既に終わっており、搭乗前に予約していた関西空港のカプセルホテルに行きました。
カプセルホテル以外にも関西空港にはもう1つホテルがありますが、1泊4-5万円と結構高めのお値段で選択肢からは除外。
カプセルホテルは既に満席で、同じ飛行機だった人の中には空港の椅子で一夜を過ごした人もいるでしょう。
カプセルホテルに到着後は、すぐに大浴場へと向かいました。待ちに待った湯船のあるおふろです。真っ先に湯船に浸かりたい気持ちを抑え、体を軽く洗ってから湯船に浸かると、なんとも言えない心地よさがやってきました。「ゔぁー」と声を出したいところ、他のお客さんもいたので静かに浸かりました。
湯船に浸かるのは、日本以外ではなかなかみられない文化です。水圧と適度な温度で心も体も温めることができます。お湯が体中に沁み渡るとはこのことか、というぐらいに大浴場を堪能しました。
大浴場でしたので、足を伸ばしてゆっくりと浸かることができ、あまりにも心地よくて寝そうになりました。たまに家のおふろでも寝そうになることはありますが、非常に危険ですのでみなさんもお気をつけください。
なにはともあれ、洗い場でもたっぷりのお湯を使って体を洗うことができましたし、湯船でもゆったりと過ごすことができました。
いずれも、海外の十分なお湯が出ないシャワーだけではできません。お湯に浸かることで、1日半以上の帰路の疲れをとることができました。また、おふろのおかげでカプセルホテルのベッドでゆっくりと寝ることもできました。
ということで、今回の出張では本当に日本の湯船の偉大さを再認識できました。みなさんも海外旅行でトラブルに見舞われても、日本に帰ったときの湯船を楽しみにするのはどうでしょうか。