この地球上にいて、家にお風呂がある人なら誰しもが、何らかの形でお湯とシャンプー、ボディソープ、リンスを使って一日の汚れを落としていることでしょう。
いわゆる、「入浴」ですね。
それでは、この地球上にいない人たち...
宇宙空間に身を置いている人たちは一体どのようにして入浴しているのでしょうか?
宇宙船の中に唯一重力が存在する部屋があり、そこで無数の星が広がる宇宙を眺めながら湯舟にザバーン...
なんていうロマンチックな想像をしていませんか?
実際のところ、どうなんでしょうか?
宇宙での入浴事情
シャンプーは、泡が周囲に飛び散らないように、泡が出にくいドライシャンプーを使います。そして、洗い終わったあとは、乾いたタオルでふき取っておしまいです。また、顔やからだの汚れは、濡れタオルでふきます。
1974年のスカイラブ計画では、船内でシャワーを浴びることができました。直径90cmの円筒型のシャワールームにゴーグルをかけて入り、ホースから直接からだに水を吹きかけ、余分な水をファンで吸引するというものです。終わったあと約1時間かけて中の水滴を全部ふき取る手間を考えると、快適とは言えませんでした。
また、ロシアの宇宙ステーション「ミール」にも、天井からお湯が出るタイプのシャワーがついていましたが、やはり水滴のふき取りに時間がかかりすぎたため、徐々に使われなくなり、いつしか物置きになっていたそうです。
ISSでは、このような経験を踏まえて、現実的に対応した結果、シャワーの設置は行われませんでした。出典:ファン!ファン!JAXA
んー。手間がかかっていそうですね。
濡れタオルで体を拭くって、小さいころに熱でお風呂に入れなかったときにしたきりです。
宇宙飛行士はそれを何十日も何か月もしているのか、と考えると、宇宙空間で生きていくって大変だなぁと感じました。
無限の星々を見ながらお風呂に入ることなんか到底かないそうにありませんね。
ほかにも...
無重量状態では水が流れないので、地上のように、じゃ口の下に手を出して洗うことができません。そのため、スペースシャトルに洗面台(せんめんだい)やシャワー室はありません。
手や顔のよごれを取りたいときは、アルコールでふくか、液体石けんをふくませたぬれたタオルでふきます。髪を洗う時は、船内にあわが飛び散らないように、水を使わずに洗えるシャンプーを使います。洗い終わったら、かわいたタオルでふき取っておしまいです。体のよごれは、ボディシャンプーをふくませたぬれたタオルでふくだけです。出典:宇宙ステーションキッズ
なるほど。
宇宙空間には、私たちが思い描くバスタイムは存在しないみたいですね。
無重力空間でも湯船のようにお湯がいっぱいあると、水泡が一つの塊になってこぼれなくなるのではないか、と思っていました。
が、それは浅はかな考えだったようです。
逆に水泡がいろんなところに飛び散って、宇宙船の大事な心臓部の機械に入ってしまったら大変なことになってしまいますね...
宇宙での入浴には危険が潜んでいる!?
無重力空間では、入浴はおろか、シャワーですら危険だそうです。
なぜなら、無重力空間において顔についた水は離れにくく、場所が悪ければ窒息、溺死してしまうこともあるからとのこと。
しかし、3か月や半年の長期滞在する予定の宇宙飛行士のために、完全隔離されたシャワールームが設置されている宇宙船もあるそうです。
スカイラブ宇宙船でシャワーを使うルースマ宇宙飛行士。飛行士をシャワー装置の中に入れてふたを閉め、内側から体に水をふきつける。この水はすぐに吸い取られる。
ちなみに窒息、溺死を防止するために、鼻栓をしたりゴーグルをつけたりしていた宇宙飛行士もいたとか。
みなさん、一度は夢見たことがあるでしょう、宇宙空間での入浴。
そう簡単に叶うものではないみたいですね。
しかし、夢を見ることにお金はかかりません!
「宇宙で入浴...」と想像してみるだけで、少しは夢や希望を持つことができるのではないでしょうか。
「宇宙風呂ツアー」を企画し、いつの日か地球を眺めながらお風呂に入ることができる日がやってくるといいですね!